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母指MP 関節尺側靭帯損傷、Stener Lesion

 母指は他の指から離れた位置にあり、指の突き出ている方向も他の指と異なっています。そのため、ぶつけたりひっかけたりしやすく損傷しやすい指です。

 母指MP関節には両側に靭帯があり、基節骨が左右ぐらつかないように支えています。

 母指MP関節尺側靭帯はMP 関節の小指側(尺側)についている靭帯で、母指が親指側(橈側)に倒れないように支えている靭帯です。この靭帯は多くの場合、基節骨付着部で切れます。

損傷の程度によって治療法が変わります。切れた靭帯が元の位置に留まっていればギプス固定で治癒が期待できますが、靭帯が母指内転筋腱膜の外側に出た場合は、靭帯は元に戻れないため、治癒は期待できません。このように尺側靭帯が母指内転筋腱膜の外側に出てしまった状態をステナーリージョン(Stener Lesion)といい、手術が必要です。

切れた尺側靭帯が母指内転筋腱膜の外側に飛び出ています。この状態をStener Lesionといいます。Stener Lesionになりますと飛び出た靭帯は元の位置には戻れずに治癒が期待できません。

MRI画像(YO-YO on a string)

T2FS、あるいはT2*の所見は、切れて反転した靭帯(矢頭=ヨーヨーのように見える)が母指内転筋腱膜(矢印=線のように見える)の上にあるため YO-YO on a string と呼ばれています。

 

 損傷後の経過時間(急性、慢性)によっても呼び名が異なります。受傷した直後の急性期の状態をスキーヤー母指(Skier`s Thumb、スキーヤーズサム)といい、慢性化したものをゲームキーパー母指(Gamekeeper's Thumb、ゲームキーパーズサム)といいます。かつてイギリスで素手でウサギの首を折る狩猟場の番人(ゲームキーパー)がたくさん受傷したためにつけられた疾患名です。

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