★ガレアッチ骨折、Galeazzi骨折
まとめ
橈骨骨折と遠位橈尺関節脱臼(手首の橈骨と尺骨間の脱臼)を合併した脱臼骨折です。橈骨の骨折に気を取られて、遠位橈尺関節脱臼を見逃しやすい外傷です。診断はレントゲンで前腕の正面と側面に加え、両手関節の正面と側面が必要です。必要に応じてCTで遠位橈尺関節脱臼の確認を行います。橈骨骨幹部骨折を認めたときは必ず手関節のレントゲンと触診チェックを行い脱臼の有無を確認します。治療は多くの場合、手術が必要です。橈骨を正確に戻し金属で固定し、前腕回外位で約4週間固定します。
モンテジア骨折と混同されることが多い骨折です。
★橈骨骨折+遠位橈尺関節(手関節)の脱臼=ガレアッチ骨折
★尺骨骨折+橈骨頭(肘関節)の脱臼 =モンテジア骨折
★ガレアッチ骨折、Galeazzi骨折
どんなケガ?
橈骨骨折と遠位橈尺関節脱臼(手首での橈骨と尺骨間の脱臼)を合併した脱臼骨折です。もともとは橈骨骨幹部中央1/3から遠位1/3の間で起こった骨折に遠位橈尺関節脱臼が合併したものをガレアッチ骨折と定義してました。最近は骨折部位が骨間部ばかりではなく橈骨遠位端骨折に遠位橈尺関節の脱臼を伴ったものもガレアッチ骨折ということが増えてきました。
✔症状: 前腕から手関節にかけての脱臼骨折ですので、その部位の腫脹、疼痛があります。ひどい場合は尺骨が皮膚を破って外に飛び出している場合もあります。
神経麻痺や動脈損傷の有無をチェックする必要があります。
✔原因:激しい転倒、高所からの転落、交通事故など、橈骨遠位端骨折に比べてややエネルギーの高い外傷で発生します。
✔診断: レントゲンで橈骨の骨折はわかりやすく、そちらに注意が向いてしまい、遠位橈尺関節脱臼を見逃してしまうことがあります。さらに、遠位橈尺関節脱臼は転位が軽い場合はレントゲンではわからないことが多く、医者泣かせな脱臼です。手関節に圧痛があり腫れている場合はCTで確認することが重要です。
✔治療:手術が必要です。橈骨をプレートで骨接合し、前腕回外位で固定します。固定は上腕から手関節までのギプス固定か、K-wireで橈骨と尺骨を串刺しにして固定します。さらに遠位橈尺関節脱臼の程度が酷い場合は、関節を展開し靭帯を縫合している施設もあります。
遠位橈尺関節脱臼が陳旧性になった場合の治療は難しく、良好な成績を得にくいので、初診時に脱臼を見逃さず適切に治療することが大変重要です。
★陳旧性ガレアッチ骨折症例
正面写真(左)
橈骨遠位が骨折し短縮しています。すでに仮骨が出現し、骨癒合してきております。
側面写真(右)
橈骨が掌屈変形(前の方に曲がっている状態)しています。橈骨と尺骨が掌背方向(前後方向)に転位しており、遠位橈尺関節の脱臼を認めます。この時点で回外は0°でした。
手術後 正面写真(左)
橈骨の変形を矯正しました。曲がっている骨をまっすぐにしてプレートで固定しました。
手術後 側面写真(右)
橈骨と尺骨が重なって映っています。手術前は亜脱臼であったのが整復されています。