指の骨折
指の骨は先端から末節骨、中節骨、基節骨があり、親指は中節骨がなく末節骨と基節骨からなっています。
1. 末節骨骨折
a, 爪の脱臼を伴う骨折(図1)
爪の脱臼を伴う末節骨骨折は比較的多く、指の先端を激しく挟んだり、公式野球ボールのような硬いものにぶつかると発生する。爪の脱臼が一見するとわからないことがあり、放置され感染を起こすことがあります。
治療は大量の水で洗浄し爪を戻し再脱臼を起こさないように縫合します。これである程度骨折の転位が整復されます。整復が不十分であったり、骨片の不安定性が強い場合は、ピン(K-wire)などで固定します。










症例 野球ボールが爪に当たり受傷
受傷時 爪が脱臼し末節骨が骨折している
整復後 爪を戻し再脱臼しないように縫合した。末節骨の変形が矯正されている
b, マレット骨折(図2)
指の伸筋腱がついている部位での骨折です。マレット骨折を参照してください。
c, 掌側骨片の剝離骨折(図3)
屈筋腱がついている部位での骨折です(図3)。マレット骨折とは反対側に起こる骨折です。
ラグビーのタックルで相手のジャージーに指をひっかけて屈筋腱に強い力が加わり腱の骨付着部で発生する場合がありジャージーフィンガー(Jersey Finger)とも言います。
多くは環指(薬指)発生します。骨から腱が剥がれる際に小さな骨片を伴うことがあります。

末節骨の手のひら側と爪側にそれぞれ腱が付着し、この腱が筋肉で引っ張られると指が伸びたり曲がったりします。

指を力いっぱい曲げた状態のときに外からの強い力で急に伸ばされると発生します。

屈筋腱付着部の損傷です。
腱単独の損傷の場合と小さな骨片を伴う損傷の場合があります。
2. 中節骨骨折
骨折部位によって骨の転位方向が変わります。
a, 基部:浅指屈筋腱付着部よりも近位で折れた場合は屈曲変形(背側凸)が起こりやすく(図4-1)
b, 中央:浅指屈筋腱付着部よりも遠位で折れた場合は伸展変形(掌側凸)の変形になりやすい(図4-2)
c, 遠位:受傷機転により変形方向が異なる


d, 掌側板骨折
PIP関節が過伸展して発生する骨折。
つまり、 第二関節が思いっきり後ろに反って起こる骨折。
下の図のように指にボール等が当たり、第二関節が後ろに反って、掌側板がついている小骨片が割れてしまう骨折です。
治療
①骨片が小さい場合:過伸展しないように(第二関節が後ろに反らないように)注意して日常生活を送っていだきます。外固定は痛みに応じて行いますが、痛みが強くなければ不要です。
②骨片が大きな場合:ずれが少なければ添え木等で固定します。ずれが大きければ手術を行います。

12歳 男児 指を強打し、第二関節が過伸展しました。


レントゲン側面像では、異常が無いように見えるが、詳しくみると
中手骨基部が掌側に伸び、うっすらと骨折線が見える(赤点線)
手術は行わず、簡易的な添え木での固定で治癒が見込まれます。
3. 基節骨骨折
a. 頸部骨折
小児に多い。多くは背屈転位でピン(K-wire)等で整復固定します。新鮮例で整復固定できたものは良好な成績が得られます。
b. 骨幹部 骨幹端部の骨折
転位方向:ほぼ100%、背屈転位(骨折部が掌側に凸の骨折)です。
治療法:保存治療(手術をしない治療)がすぐれています。
保存治療
1)MP関節屈曲位でギプス固定をする方法(Burkhalter法)
2)ギプスの代わりにMP関節屈曲位でテープ固定を行います。
★両者とも固定翌日から指の自動屈伸を行います。
★手術で必発である腱の癒着は起こらず、また関節の拘縮も防ぐことが可能です。
手術治療 まれです。
保存治療で基節骨の変形が矯正できない、あるいは矯正位を保持できない場合は手術を行います。
★テープ固定法について

1. 麻酔下に骨折の転位(ズレ)を矯正しMP関節を屈曲位に保持します。(小指の基節骨基部が骨折)
2. テープを骨折している骨の遠位(指先に近いところ)にかけて手のひらでクロスし手に貼り付けます。
3. 補強のために隣接指(この場合は薬指)もMP関節屈曲位でテープ固定します。
4. 第二関節を伸展しているところです。
この固定を行いますとPIP,DIP関節の自動屈伸を行っても骨折部はずれにくい。
基節骨は伸筋腱が両側面背側面を覆っており骨折部を安定化させる構造になっています。
★環指・小指基節骨基部骨折 テープ固定法
10歳男児 遊具から転落し受傷

受傷時レントゲン正面
環指と小指の基節骨の根本(基部)が折れてずれています。特に環指の転位が著しい
受傷時レントゲン斜位
環指小指ともに背屈変形しています。

局所麻酔下に徒手整復し、MP関節を屈曲位でテープ固定を行いました。


