★反復性肩関節脱臼

Key Words : 何度も肩がはずれる、肩の痛み、肩が痛い、手が上がらない、夜痛い、夜痛みで寝られない

 

反復性肩関節脱臼とは?

外傷などで肩関節脱臼を起こすと、その後軽微な外力で脱臼を繰り返す場合があります。これを反復性肩関節脱臼といいます。脱臼を繰り返すたびに脱臼の通り道が広がり、日常生活動作で簡単に脱臼するようになり、寝ている間に脱臼することもあります。脱臼する方向は前方、後方、下方、上方などいろいろな方向に脱臼しますが、ほとんどの脱臼の方向は前方です。何度も脱臼を繰り返す場合は手術が必要です。以下、反復性前方脱臼について説明します。

 

✔症状:上腕骨頭が臼蓋から外れて前下方にずれたままの状態です。強い疼痛(痛み)があり自分では肩を動かせなくなります。腋窩神経麻痺を合併することがあります。腋窩神経は腕を上にあげる三角筋を動かす神経で、この神経が麻痺すると腕が上がらなくなります。多くの場合、脱臼に伴う腋窩神経麻痺は数か月から半年くらいで改善しますがマレに改善しないこともあります。

 

✔原因:肩関節は「小さなお猪口に野球のボールが乗っている」ような形態です。関節周囲の靭帯や関節包、筋肉等で脱臼しないように支えています。肩関節が脱臼すると靭帯や関節包が壊れ、損傷程度がひどければその後は容易に脱臼しやすくなります。

 初回の肩関節脱臼は外傷、コンタクトスポーツ(ラグビー、サッカー、バスケットボール、アイスホッケーなど)で発生します。その後、何度も脱臼すると軽微な外力で肩関節が脱臼するようになります。就眠時に寝返りで脱臼することもあります。寝ているときには肩の力が抜けて筋肉の防御もないため脱臼しやすい環境です。初回脱臼以降、反復性に移行する率は年齢によって大きな差があります。初回脱臼が20歳未満の場合40-50%、20-40歳が30%、40歳以上が10%との報告があり、若い人が反復性に移行しやすい傾向です。さらに脱臼回数によっても、再び脱臼する率が変わってきます。一旦、外傷で脱臼すると2回目を脱臼する確率は20%、2回脱臼した人が3回目を脱臼する率は80%、3回脱臼した人が4回目を脱臼する率は90%との報告があります。

 

✔診断:触診で肩の前方に骨頭の出っ張りが触れます。レントゲンで骨頭が臼蓋からずれているために前方脱臼の場合は判断が容易です(下図)。ごく稀におこる反復性後方脱臼は、骨頭が前後にずれますが上下にはずれないことが多く正面写真ではわかりにくく見逃す可能性があります。スカプラY撮影や軸射撮影で脱臼の有無がわかります。骨の形態、位置関係を確認するためにはCTが有用です。臼蓋(骨頭の受け皿)や、骨頭の上後方部分の骨の損傷(削れ)程度を確認します。また腱板損傷(肩の中にあり骨頭を包み込んでいる板状の腱)や関節包・靭帯の損傷状態を調べるためにMRIの検査が有用です。

日本整形外科スポーツ医学会 スポーツ損傷シリーズより

✔治療:何度も脱臼した場合は手術を行います。骨の損傷が強い場合は骨の修復も含めて関節を開けて手術を行います。骨の変化が少ない場合は内視鏡手術で修復します。手術後は骨や軟部組織の修復に一定の時間を要します。早期に激しい運動や重労働を行うなどの無理をするとせっかく修復した組織が壊れます。手術後3か月は重量物を持ったり無理に動かすと再脱臼の危険性が高まります。またコンタクトスポーツは半年は行わないようにしましょう。

日本整形外科スポーツ医学会 スポーツ損傷シリーズより

42歳女性、10回以上脱臼を繰り返した方です。

Hill-Sachs lesion

上腕骨頭後外側面の骨皮質が圧迫されて陥没している状態。

赤線はへこんだ骨皮質を示しています。

ネジは移植した骨(烏口突起)を止めたものです。

術後10か月:移植した骨(烏口突起)は臼蓋と骨癒合しています。

再脱臼はありません。

Key words: 屈曲不能、曲がらない、伸展障害、伸びない、拘縮、かたい、動かない、動きにくい、疼痛、痛み、注射、手術、再手術

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